支えるあなたもひとりじゃない ―精神疾患をもつ人のパートナーの会@金沢―
今回は、金沢市で活動されている「精神疾患をもつ人のパートナーの会@金沢」(以下、会)の管理人である荒木裕美子さんへインタビューを行いました。定例会にも参加させていただき、参加されている2名の方からお話を伺いました。※この記事では、精神疾患をもつ方を「ご本人」と記載します。
- 精神疾患をもつ人のパートナーの会@金沢とは -
統合失調症や双極性障害、うつ病など精神疾患をもつ方の配偶者やパートナーの方が、生活する上での困りごとや悩み事を共有し、お互いに学び合う場として活動しています。ご本人が医療機関に定期的に通院していなくても参加することができます。既婚・未婚も問いません。
- 活動内容について -
< 定例会 >
精神疾患をもつ方の配偶者やパートナーの方が集まる会です。偶数月の第2日曜日、13時30分から15時30分に、金沢市ものづくり会館などを会場に定例会を行っています。会場参加のほか、Zoomを利用したオンライン参加も可能です。現在は5名前後が参加しています。男女比はほぼ半々です。
「参加者の話を否定しない」「話したくないことは無理に話さなくてよい」といったグラウンドルールを大切にし、安心して気持ちや日常の困りごとを話せる場づくりを心がけています。病名はそれぞれ異なりますが、配偶者・パートナーという同じ立場だからこそ共感できることが多くあります。
< パートナーの会 for Couples >
精神疾患をもつ方の配偶者やパートナーの方とご本人が一緒に参加できる会です。数組の夫婦・カップルが集まり、互いの話を聴き合います。不定期開催ではありますが、2人で参加することで、自分たちの生活を振り返ったり、他の夫婦・カップルの経験からヒントを得ることができる場を目指しています。まだ開催回数は多くありませんが、今後も継続していきたいと考えています。
< 個別相談 >
相談者の希望に合わせて1対1の個別相談を行っています(1家族30分程度。相談方法は、対面やオンライン)。メールでやり取りをしながら進めることもあります。定例会への参加に不安がある方も、相談して頂けます。
- 荒木さんが会を立ち上げたきっかけ -
結婚後、夫がうつ病を患いました。医療機関へ定期的に通院することで生活できていたため、福祉とのつながりはありませんでしたが、自分の困りごとを周囲に相談しても理解されにくいと感じることが多くありました。病気を発症後の夫とのコミュニケーションの取り方についての悩みを夫婦の問題として受け取られ、夫は仕事を行えていましたが長期休暇時に体調を崩しやすく、親戚等の集まりに参加できないことを「怠けているだけ」と思われ周囲に理解されないことがあり、私自身、孤独感を抱えていました。
相談先を探すこともありましたが、見つけられずにいました。「地域の家族会は親の立場の方が多く、配偶者としての悩みとは少し違うことがある。」という話を聞いたこともあり、私自身も夫の病気によって、対等に支え合ってきた夫婦関係が変化したことへの戸惑いや、どのように夫へ関わっていけばよいのかという悩みであったため、つながりがないまま長年過ごしていました。
そんな中、東京で開催されていた「精神に障害がある人の配偶者・パートナーの支援を考える会」にオンラインで参加しました。そこには同じ立場で悩む方がいて、孤独感が和らぎ、自分のこれまでの関わり方は間違っていなかったと感じることができました。この経験から、同じ立場の方が安心して集まれる場所をつくりたいと思い、「精神疾患をもつ人のパートナーの会@金沢」を立ち上げました。

- 荒木さんが活動を行う中で大切にしていること -
自分の気持ちが否定されず、どんな小さな悩みや想いでも安心して話せる場所であることを大切にしています。一人で悩みを抱えていると、ご本人への関わり方が「本当はよくないのではないか?」と自分を責めてしまうこともありますが、他の参加者の言葉や体験を聴くことで、自分ができていることにも気づけると感じています。
会の活動に参加する中で、最初は自分の辛さを中心に話されていた方が、次第に他の参加者をねぎらったり、前向きな言葉を口にされるようになる姿を見ることがあります。繰り返し参加することで、参加者自身の気持ちや視点に少しずつ変化が生まれていると感じています。
~しらぎく会事務局員も定例会に参加させていただきました~
- 定例会の様子 -
12月14日(日)、金沢市ものづくり会館で行われた定例会に参加しました。当日は4名が参加し、そのうち1名が初参加、3名が継続して参加されている方でした。はじめにグラウンドルールを確認し、自己紹介の後、前半・後半に分けて話が進められました。
前半は、参加者の日々の生活や悩みについて語り合われていました。「大変でしたね」「頑張ってこられましたね」といったねぎらいの言葉が参加者同士で自然と交わされていました。発言者の方が「改めて考えると、こう感じていたと思う。」と自分の気持ちを再認識する場面も見られました。
後半は、仕事や趣味など、参加者それぞれが今の生活の中で頑張っていることについて語り合われていました。安心して話ができる雰囲気の中で、参加者同士が支え合う場所となっていると感じました。
~精神疾患をもつパートナーの会@金沢に参加されていた2名の方にお話を伺いました~
〈 Aさん(妻の立場) 〉
― 会に参加したきっかけ ―
夫の病気と向き合う中で、Facebookのイベントページを通じてこの会を知りました。夫婦だからこその悩みや、今後の関わり方について、同じ立場の方と話せる場所だと感じ参加しました。長年「夫を何とかしたい」と思い続ける中で、心身ともに追い詰められていた時期がありました。
― 悩みへの向き合い方・工夫してきたこと ―
「相手を変えることはできない」という考え方を大切にしています。相手の言動よりも、自分の気持ちの持ち方を意識するようにしています。悩みを会で話したり、友人に聴いてもらったりしながら気持ちを整理しています。また、睡眠をしっかりとることで自分自身が健康でいることを意識しています。
― 同じ悩みをもつ方へメッセージ ―
同じ立場の方と話すことで、「わかってもらえた」と感じ、心が少し軽くなると思います。まずは自分が元気でいることを大切にし、完璧を求めず、今できている自分を認めてあげてほしいです。

〈 Bさん (夫の立場) 〉
― 妻との生活 ―
結婚から約10年後、妻が統合失調症を発症しました。治療を始めると症状は落ち着き、しばらくは大きな困りごとはありませんでした。しかし昨年、被害的な訴えや夜間の外出が続き、一時的に行方不明になることがありました。現在は、入院治療を経て一緒に暮らしています。
後になり、入院前には服薬をやめていたことや、主治医との関係がうまくいっていなかったことを知りました。退院後、妻は家事などを入院前と変わらず行ってくれていますが、一方で、医療や治療への不信感が強いことが悩みです。これまで妻一人で病院に通っていましたが、そのことが難しくなりました。妻に代わって主治医の先生に症状を伝えたり、訪問看護を利用しながら生活を続けています。
― 会に参加して ―
妻が行方不明になっていた時期に、インターネットでこの会を知り参加しました。事故への不安や先の見えない気持ちを抱える中で、警察や保健所では十分に気持ちを受け止めてもらえないと感じていました。初参加の際、参加者の皆さんが気持ちを否定せずに聴いてくれたことが強く印象に残っています。
継続して参加する中で、他の参加者の率直な想いを聴けることや、それぞれの工夫に触れられることが励みになっています。
― 同じ悩みをもつ方へメッセージ ―
一人で抱え込みすぎず、話ができる場所を持つことが大切だと思います。誰かの話を聴くことで、新たな気づきが得られることもあります。ぜひ、つながれる先を見つけてほしいです。

~ しらぎく会事務局より ~
今回の荒木さんやAさん、Bさんへのお話や定例会への見学から、配偶者やパートナーという同じ立場であるからこそ分かち合える想いがあることや自身の気持ちを否定されず安心して話ができる場所の必要性を改めて理解することができました。安心して話ができる場所やつながりがあり、配偶者やパートナー自身が自分のことも大切にできることで、よりご本人との関係にも変化が生まれることを学びました。
当会としても今後、同じ立場の方同士が互いに気持ちを語り合い、繋がれる場所を作っていけると良いなと思います。
取材にご協力いただいた荒木さん、そして温かく迎えてくださったパートナーの会の皆さまに深く感謝いたします。
精神疾患をもつ人のパートナーの会@金沢の活動内容や取り組みについては、以下のURLよりご覧いただけます。